僕らの旅―Bokura no tabi―

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君と僕の物語

『姉様っ カヲル姉様っ!』
短い黒髪の少年が庭を駆け巡る。
顔立ちから見て、5~7歳ぐらいだろうか。
『あら、リザ?今日はどうしたの?』
『うんっ 実は・・・・・』
いつも、僕の傍にいてくれて、優しくて、花を愛していた、カヲル姉様。
本当に 幸せだった―――――。そう、あの日 彼女が 失踪する その時までは。

第三章 欠けていた「日常」

「失踪・・・?」
「そう。でも、きっとワケが在るんだと思っていた。だって、あの人に限ってそんな事はないって、思っていたから―――」
「・・・いたから、じゃなくて 「いたかった」んだろう?」
「・・・・・・ああ」
       彼女の事を、最後まで 信じていたかったんだ。
「それも、妹のアリスの誕生日の日に消えてしまったんだ」
「!?」
アリスは息を呑んだ。

アリスの誕生日が来る三日前の事だった。
僕が学校から帰ってくる途中、おもちゃ屋に 姉様の姿が在ったんだ―――。
『あれっ?姉様、どうしたんですか?』
僕は素直に聞いてみた。すると・・・
『あ、うん。ほら、明後日 アリスの誕生日でしょ?だから、大きいクマのぬいぐるみを
買ってあげようと思って・・・ずっとお小遣いを貯めてたんだ。』
『あ、いいですね。流石です!お姉様。』
『でも、その日に買うつもりだから・・・それまでに売り残っているかが・・・』
『・・予約、できないんですか?』
『あ、そうだね。その手があったか!』
『・・・まさか、忘れてたんですか?』
姉様の表情からすると、どうやら本当の様だ。
『大丈夫っ あ、すみませーん。あの店内に飾ってある大きなクマを予約したいんですけど・・・』 そして、その5分後。
『やった買えたよっ!リザっ!まぁ、確認した人がちょっとボケたお爺ちゃんだったけどね』外ではいつも口調が違う。でも、それはそれで 僕はいいと、思っていた。
『ありがとね。――――リザル』最後にニコと、微笑みながら僕の頭の上を撫でた。
僕は 正直 この手が 好きだった。
ちょっと 大きくて 優しくて 暖かくて・・。

でも・・その三日後、あんな事に なるなんて 誰もしていなかった。


姉様が失踪したって言う情報は アリスの誕生日パーティ中に 執事から 入った。
『!?姉様が・・カヲル姉さんが・・っ 失踪した!?どうしてっ・・・』
パーティをやる、とは言っていたのに、プレゼントも買ったのに・・。
予定時間を 過ぎても 来なかったのは 疑問に思った――――けどっ・・!

『?お兄様?どうかしたんですか?』
目と足が障害を負っている、アリスは音で反応し、僕に聞いた。
『っ・・。アリス、カヲル姉様がね―――』
『お姉様も来るのですかっ!?まぁ、嬉しい!あ!で、いつおっしゃるのですか?
 ひょっとして、もう来ていらっしゃるのですかっ?』
『・・・・・・っ!』
僕は 結局 何も言えなかった。こんなに、喜んでいるのに もし、伝えれば・・・
僕は そんな事 できない。彼女の 泣いた姿を見たくない―――!
             だから――――。
『・・・、アリス。落ち着いて聞いてね?』
『はい?なんでしょう?』やっと落ち着いたアリス。そして・・・。
『お姉様はね、今 旅行で いつ帰ってくるか分からないんだ。
 だからね、なんでもないんだ。』
『え・・そーなんですの?あら、やだ・・。私勝手に、はしゃいで・・。恥ずかしい・・』
     恥ずかしくなんかないよ、アリス・・。
僕は初めて妹に嘘をついた。
              僕の方が、恥ずかしい―――。

そして、その二週間後 僕は警察に 呼ばれた。
『貴方が、リザルさん、ですね?私は警視庁のレナルドと申します』
『・・・どうも』
『さて、二週間前の事件は大変でしたねェー。』
『・・・人事みたいに言わないで下さい』僕は睨み付けた。
そして、レナルドという男は、笑いながら、申し訳なさそうに、それはご無礼を、と言った。
『さて、その失踪したカヲルさんの事なんですが・・・』
『!?何か分かったんですかっ』
『いや、これは悪魔でも【情報】でね。本当かどうか判らないんですけどね』
『教えて下しさいっ!!』
『・・・いいでしょう。では、話します。実は・・貴方は、カヲルさんが誕生日の三日前、
おもちゃ屋で、ぬいぐるみを予約した所をみてますね?』
『・・当然でしょう?あの場に私も、偶然いたんですから』
『・・本当に偶然でしょうか?実は、カヲルさんがおもちゃ屋に行く30分前、カヲルさんと同じ格好をした女子生徒が人をバットで殴り、逃走したという事件が在る―――――
『そんなわけないでしょう!!?大体っ、何なんですか!さっきから、人の姉を疑って!』
『まぁ、・・他人から見ればそうなりますね。でも、私たちはあの事件の直後、おもちゃ屋で、既に確認をとっています』
『何の・・・、ですか?』
・・鼓動の音がさっきから激しくなるのがわかる。
『あの日、彼女はおもちゃ屋に寄らなかったと―――!それに、既にそのおもちゃは売られている、との事です。』
『!!?ありえませんっ そんな事・・!だって、あの日ちゃんと予約をして・・・!』
            あ―――そういえば・・
       『確認した人がちょっとボケたお爺ちゃんだったけどね』
『貴方が仰る通り・・ですが―――』
『店員は・・っ 他に居ないん・・っですか・・?』
僕はツバを飲み込んで言った。
『・・・残念ですが、店員はあの、お爺さんだけです』
『あ・・・っああああああああああああああああああああああっっっっ!!!!』
 僕は 悲鳴をあげた。
これじゃあ、ちっとも 助ける事を できない。
僕は・・・また、何もできなかった・・っ!
僕は また・・・・無力だ。
小さな「日常」の中で 生きてきた「人形」達。
  でも、その日常は、儚くて、脆くて、壊れやすい ガラス玉のような形をしていた。
     そして、そのガラス玉は 欠けていた。
ガラスが欠けていたと同時に、「日常」が 欠けていたのだ。



第三章 欠けていた「日常」終わり
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Author:飛龍 連
やっと皆と同じ歳にならんだ遅生まれの水瓶座。


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